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久し振りの小説更新

一気に時間が空く事になってしまったので、久し振りにSS更新。

12月ごろにtwitterで魅力的なお題を許可をいただいてする事に。
18禁お題でしたが、書いているうちに長くなったので分割。
前編は18禁パートが無いですが、後編ではおそらくこちらで投下できないので18禁ページに投下します。

「Change Of Heart(前編)」を続きを読むからどうぞ。







@※※※※ 内気な眼鏡っ子読書少女が、それ以上に内気な草食系男子の彼氏に媚薬を飲ませて襲わせるというシチュまで考えたので、あとはよろしくお願いします。

上記お題をユーなの改変の上執筆。ネタ投下されたご本人の許可はいただいています。
初期設定をやや無視してますが、インスパイア元として利用させていただきました。
ありがとうございます。

「Change Of Heart(前編)」

「ねぇ、なのはちゃん。本当にユーノ君と何もないの?」

アースラで同窓会のように宴会を開いて、その席でエイミィからこっそり耳打ちされて。
本当に何もなかったからなのははうん、と答えるしかなかった。

「ユーノ君は親しい幼馴染だ、それだけだって」
「そうですよ?私にとってもユーノ君は大切で親しい幼馴染ですから」

すらすらと出てきた答えにささやかな心の痛みを感じて。
その時は取り繕う事など考えもしなかったが、ユーノと自分の答えが次第に自分の心にひびを入れようなどとは、なのはは思いもしなかった。

アースラでの同窓会から一月経った本局のシャマルの医務室。
なのはは4年前の事故以来、回復してからは半年に一度のペースで体の調子を徹底的に診てもらっている。
シャマルの必死の治療のおかげで怪我のわりに体に目立つ大きな傷跡が残る事もなかった。
なのはは診察室で七分袖の患者衣を着てシャマルの診断を結果を待っていた。
奥から書類を抱えて出てきたシャマルは、なのはの前に座ると笑みを浮かべて良好な診断結果を知らせる。

「血液検査もリンカーコア検診も異常なし、と。なのはちゃんお疲れ様」
「ありがとうございます、シャマル先生」
「左腕の痛みもないよね?」
「大丈夫です。痺れは2年前にちょっと出たぐらいで今はもう」

なら大丈夫ねー、と言ってカルテに診断結果と問診の内容を書き込んでいく。
その横でなのはは検診で脱いでいた服を再び身につけていく。それをシャマルは横目で見ながら安堵するようなため息をつく。
年相応に成長した体は女性としての成長を顕著に現わしつつあった。
日本人平均よりも発育した胸、教導隊で体を鍛えているおかげでメリハリのついた体のライン、そして「かわいい」から「美しい」に変貌しつつあるなのはの顔立ち。
目の前の少女が今も寝たきりになっていたり車椅子生活を余儀なくされていたら、と思うとシャマルはいたたまれない気持ちになる。
主治医として患者の回復はとても嬉しい物である。

「シャマル先生、次のブラスターシステムの試験ですけど……」

ところがである。シャマルの目下の悩みは、なのはが体に負荷のかかる魔法の開発を進めている事だった。
事故前よりも自分の体の事を省みるようになったなのはであったが、それでも彼女が持つ魔力は彼女自身を蝕む恐れがあった。
そのこともシャマルの悩みであったが、ブラスターシステムはその軽減のために考え出されているシステムである。
それでもなのはの体に負荷が大きくかかる事は間違いなく、エクセリオンモード使用時よりも負担が軽くなるはずだとは言え、ステージをあげて使用すれば元も子もない事は明白であった。
改良が進めば体への負担は小さくなる事は確実と言えるのだが、試験段階で実用化に失敗する事は望ましくない。
故にエクシードモードの試験後にもシャマルは毎度リンカーコアのチェックを欠かさず行っている。

「うーん、実用段階にまだ持っていけないわねぇ。何度か試験して、その度にプログラムを修正してるけど、初期に比べてリンカーコアへの負担率は15%軽くしたに過ぎないのよ?」
「まだ実戦投入には難しいですよね」
「せめて初期の40%まで落としたい所。ノースミッドチルダ社の技術者の報告待ちね」

シャマルは体への影響面を考慮するためになのはのブラスターシステムの開発に参加しているのである。
なのはの体の負担を最低限に抑えるために真っ先に開発したアグレッサーは、なのはの体の成長と共に馴染み、今では彼女のトレードマークとなった。

「あとは、ユーノ君の報告待ちかな」
「そうですね、他の次元世界の魔法術式も調べているそうですし」

カルテを書き終わってシャマルがふと呟いたのは、無限書庫に籠もりっきりの少年の事。ユーノもなのはのブラスターシステムの開発に加わっている一人である。
彼にはなのはを魔法の世界に引き込んだという責任感があった。その感情を露わにしたのは4年前のなのはの事故だった。
彼の自責の念と慟哭は、痛いほどシャマルの心に突き刺さる物であった。
そして、シャマルのちょっとした関心事があるのだが。

(……ユーノ君と本当に何もないのかしら)

そのユーノとなのはの関係の事である。
友人であるフェイトやはやてにはごく稀に「付き合っている男性がいるらしい」という噂が流れてくる事がある。(全くの事実誤認であるが)
だが、周囲には付き合っていると思われているのか、なのはとユーノの話以外を聞く事はない。
ミッドチルダの中央公園で一緒に歩いている所を見た、とか本局の武装隊食堂で二人が一緒に昼ご飯を食べていたとか。
聞けばまるで恋人のような付き合いである。だが、二人はカップルである事を否定するのだ。

(ユーノ君はなのはちゃんの怪我以来、自分の感情を殺しているみたいだけど……。なのはちゃんは全く意識していないわね……)

多少なりともシャマルは心の機敏を感じ取る事が出来る。ユーノがなのはに好意を抱いていた事は事故の前から知っていた。
だが、なのはは誰とも隔てなく親しく接し、それまでのユーノのささやかなアプローチはなのはがそれに気が付かない、「超」が付くほどの鈍感でもあるのだ。
なのはの事故があってからは、ユーノのアプローチはなりを潜めてしまったが、なのはへの想いを諦めた節はなかった。
それに対して、なのはの方は以前と変わらず「幼馴染の親友」と彼を見ていない。
だが、今日はちょっとだけ様子がおかしい。

(……? 今までこんな表情は見せた事はなかったわよね?)

なのははユーノの話題が出た途端に微妙に表現しがたい表情を見せたのだ。受け答えは至って普通であったのだが。
笑顔の下に思い悩むような、苦悶するような要素を覗かせている。決して喧嘩したわけではなさそうだ。
しばらく表情を観察するが、右手で胸を押さえるような仕草を見て、シャマルはある一つの事に思い至った。
シャマルはカルテのファイルを閉じると、なのはの正面に向き合う。
シャマルは外科、内科だけでなく、精神科もカバーするオールラウンダーの医師でもある。精神科のスキルを使えばカウンセリングをする事は可能である。
老婆心と思いつつも、二人の関係が前に進むようにきっかけを作る事にした。

「ねぇ、なのはちゃん。ユーノ君の事が気になる?」
「ふえっ?!いきなりなんですか?」

案の定の答えが返ってくる。

「気になると言えば、気になりますよ?ちゃんとご飯は食べてるのかな、とか睡眠時間はちゃんと取れてるのかな、とか」
「それだけじゃないよね?」

シャマルはなのはの思考をその先へ動かすために、答えを引き出させるために問いかける。
シャマルの心中へ踏み入ってくるような問いに驚きを隠せず、そのまま視線をさまよわせて、なのは膝の上で握り拳を作って視線を下げる。
それからなのははしばらく言うか言うまいか逡巡していた。シャマルはそれを無理矢理聞き出そうとはせずやさしく見守るだけであった。
なのはが重い口を開いたのは秒針が片手の指の本数を超えた頃だった。

「……わからないんです。自分の中で渦巻いたモヤモヤとした物が」
「わからない?」
「はい……。ユーノ君の名前を聞く度に……心がちくちくする感じがして」
「それはいつから?」

シャマルはなのはに潜在している異性への意識を引き出す事にする。話を聞く限りユーノを意識している事は間違いない。それを自覚しているか否かである。
自分が相手をどう意識しているのか認識させる事をまずしなければ、二人は前へ進む事は出来ないだろう。
聞き出してみると、案の定ユーノの事で原因不明の感情を持て余しているようだ。

「……アースラで、パーティーがあった時から」
「一月前ねぇ……」

その時の事を思い出してシャマルは思案する。あの時はエイミィが二人に色々と聞いていた事を思い出す。
おそらくはエイミィが焚き付けたのが実情だろうとシャマルは結論づけるが、その推測はおおよそ正しかった。
エイミィはクロノとの結婚を決めたので、その嬉しさも相まってカップルのようで中々進展しない二人を前に進ませようと思ったに違いない。
ユーノは、ユーノ自身で心の整理をつければいい事であったが、なのははそうも行かない。フォローしきれていないエイミィを責めるのは酷であるし、むしろ切っ掛けを作ってくれた事に感謝すべきだろう。
シャマルはエイミィが敷いてくれたレールになのはを載せてユーノの元に送り出すだけ。その手助けをすればいいのだ。

「なのはちゃんは、ユーノ君の事をどう思う?」
「……大切な友達って思っているんです。けど……」
「けど?」
「今、フェイトちゃんやはやてちゃんがユーノ君と仲良く話している所を想像したら、心が痛くなっちゃって……。凄いイヤな感情がわいちゃって」
「うん」
「それに、側からいなくなってしまう事も考えちゃって、それもとてもイヤなのです」

なのはは嫉妬という感情を明確に持った瞬間であるに違いない。同時にユーノという男を明確に意識し始めた時でもあった。
確かな手応えを感じたシャマルは、さらになのはが持っている隠れた感情を引き出す事にした。

「なのはちゃん、ユーノ君と一緒にいる時ってどんな気持ちになる?」
「……一緒にいると、すごく楽しくて、心が安まるんです。いつまでも一緒にいたいって思えるぐらいに」
「うん」
「時々、心臓が跳ね上がるのを感じる事もあります。ユーノ君かっこいいなぁって……」

そういいつつ顔が赤面するあたり、最早確定的である。そこでシャマルはなのはが感じている感情を、解説も交えてなのはに意識させた。
ゆっくりと、なのはの目をやさしい視線で捉えかつ逃がさず、説明して行くにつれて慌てたり顔を真っ赤にしたり目まぐるしく変化するなのはの表情を観察した。

「私が……ユーノ君を……」
「どうするかはなのはちゃん次第よ?」
「ふえぇぇぇ……」

思わず漏らした声を慌てて飲み込みつつ顔を再び赤面させるなのは。
シャマルはその仕草を微笑ましそうに見つめる。

「ユーノ君は、恋愛対象として考えられる相手なんでしょ?」
「……シャマル先生のいじわる」

シャマルの問いかけに顔を真っ赤にしたまま頬を膨らませて抗議したなのはであったが、ニコニコと動じないシャマルの表情を見てため息をついた。

「確かに、ユーノ君は好きな異性として見る事が出来ますけど……。意識した事無かったからどうしたらいいのかわからないよぅ」

そんななのはの狼狽え様を微笑ましく見つめながら、こんな時に旅の鏡でユーノの元に送り届けたらどうなるやら、と意地の悪い悪戯を思いついてしまう。
しかし、なのはからすれば気持ちの整理をつけたい所。自分の役目はレールに載せて送り出してやる事と弁えている。
ユーノとの関係をどう進めていくのかはあくまでなのは自身の問題だ。ならば、ツールとして気まぐれに開発してしまった物をなのはに渡す事にした。

(後編へ続く)
by raptor24 | 2011-02-06 00:12 | 魔法少女リリカルなのは

アニメ、漫画が話題になると思えば政治で色々ぶちまける鏑木弥三郎のブログ


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